Journals

フリッジ設立後vol.2
言葉を大切にする企業が増えている。(立古和智)

やれる仕事が増えるなら、歳を重ねるのも悪くない。

2022年には、独立から20周年を迎えました。2023年にはフリッジの15周年目を迎えます。どちらも気分としてはひとつの通過点です。やり切った感はまったくありません。仕事というものは一朝一夕には変化しませんが、5年、10年、20年のスパンでふり返ると、明らかな変化が見えます。30代の頃と、40代の頃とで、能力に何倍もの差があるとは思えませんが、ビジネスの規模だけで見ると2倍、3倍どころの話ではありません。続けてきたことによって信用が高まる側面もあるのでしょう。信用が高まれば、責任の大きな仕事や、難しい仕事を相談されます。僕自身も40代後半にもなったことで、60代、70代のエグゼクティブのお相手を任されやすくなったという実感があります。書き手として呼ばれたはずが、気がついたらクリエイティブディレクター(というと大げさですけどね)的な立ち回りを任されることも増えました。このあたりは年の功なのでしょうか。

いずれにしても、言葉を大切にするものづくりの機会は、以前よりも増えている印象があります。ここ数年フリッジへの問い合わせで目立つのが「以前頼んでいたライター、コピーライターさんだと納得の仕上がりにならない」という相談。言葉(やコンテンツ)にこだわるからこそのお悩みです。2010年代前半だと、特にWebコンテンツは「質より量」という時期もありました。風向きが変わったのは、WELQ事件あたりを境にしてでしょうか。セミプロではなくプロに頼みたい、ていねいに質を高めるべきだという風潮ができ上がっていったわけです。

経営資産として言葉やコンテンツを大切にする会社が増えている。

大手企業がブランディングに寄与する記事コンテンツを制作する際にお声がけいただくことも増えました。ここでは、一本の記事コンテンツを形にするのに、ずいぶんな工数を重ねることも珍しくはありません。矛盾するような難しい要求も少なからずあります。けれども一流の企業は、言葉やコンテンツのクオリティを軽視しません。そんな時代になるなかで必然的に僕らの出番が増えていったような気がします。

もうひとつ、多くの企業がパーパス経営にシフトする昨今、ビジョン・ミッション・バリューに関する相談も急増しました。「自分たちのことなのだから自分たちで」と思って書いてみてもなかなか社内コンセンサスが得られず、僕らのもとに相談が舞い込むというのがよくあるパターンです。ここでは膝詰めでインタビューをして、せっせと言語化するという僕らの強みをしっかり生かせます。経営に直接的に関係する仕事は、いうまでもなく責任重大です。だからこそやり甲斐があります。

大学案内、会社案内、ブランドブックなど経営に関わるアイテムに携わっていても、僕らが起用される理由のひとつには必ず「言葉やコンテンツをていねいにつくりたい」が入ってきます。そう言っていただけたほうが僕らも断然燃えます。

真にクリエイティブなら、どんな仕事でも楽しめるはず。

これまでの僕は「自分がどうしたい」というよりも周りからのお誘いに乗るなかで、いろんな経験を積み、幅を広げてきました。独り立ちしたばかりの頃から20年が経った今、かつては想像もしなかったような大役を仰せつかることもあります。本当に人脈に恵まれてきました。

何かをつくる以前に、いろんな人との出会いがあること自体も僕にとっては大きな楽しみです。現在のフリッジには、最先端のものを扱う顧客もいれば、そうではない顧客もいますし、数千人規模の顧客もいれば、数人規模の顧客もいます。彼らに共通するのは、いずれも何かで一流ということ。だからこそ僕らも前のめりになるわけです。僕らだってクリエイティビティ、クオリティで一流を目指すのはもちろん、マインドだけでも一流であり続けたい。そんな風に思っています。

これまで多くの場面で出会った一流の人たちが共通して述べていた言葉「楽しく仕事をする」は僕のモットーのひとつです。要は「ひとつひとつの仕事に楽しみを見出せるか否かは自分次第」ということ。もっと言うと、どんな仕事にも楽しみを見出せてこそ「真にクリエイティブ」と思っています。だからこそ仕事を選り好みすることはありません。経験がない仕事にも笑顔でチャレンジします。そうして楽しみを見いだし続けていければと思います。

記事一覧