医学系の広報誌といえども、広く愛されるものに。
大阪大学の坂口志文先生がノーベル生理学・医学賞を受賞したとのニュースは、フリッジの社内でも話題になりましたが、大阪大学医学系研究科(以下、阪大医学部)と当社は2018年からのお付き合いになります。初めてご連絡をいただいた当時、阪大医学部が抱えてらしたお悩みは「医学に関する広報物を制作しても内容が難しいと、なかなか読んでもらえない」というものでした。
そんなお悩みに応えようと形にしたのが、大阪大学大学院医学系研究科広報誌「DOEFF(ドゥーフ)」です。コンテンツの企画、インタビュー、執筆、編集、デザイン、印刷、媒体のネーミングなどの制作全般をフリッジが担当しています。
DOEFF vol.15が発行された2025年12月には、株式会社日経BPコンサルティング主催の「大学広報メディアアワード2025」において銅賞を受賞。全国の大学における広報活動の一層の活性化を目指し応募が呼びかけられ、エントリー数189作品のなかから選出していただきました。
メディカル専門ではないからこそ生まれた企画の数々。
医療系の広報誌の多くは、メディカルライターがドクターに取材して執筆されています。専門的な話をしっかり理解できる方が書くことにも意義はありますが、なかには専門的過ぎて一般人を寄せ付けない広報誌が生まれてしまうケースもあるとか。阪大医学部が当社に声をかけたのは、メディカル専門ではないからでした。一般の人に届けるとしたらメディカル専門でないほうが、一般の人の気持ちをくんでわかりやすく伝えられる。それを前提とした最初の打ち合わせで、その場で出した企画アイデアのほとんどが採用されました。
たとえば巻頭の「アートな体躯(からだ)」。これは医学研究で使われる画像を主役にしたグラビア企画です。ドクターたちにとっては日常的に目にする画像に過ぎませんが、一般の人からするとアートさながらの美しさ。そこにユーモラスなコピーを添えることで、美しくも楽しいコンテンツに仕立てました。
一方、巻頭特集の「2050年、未来予想図」では、ドクターが医療の未来を大予想。「原子の力を利用して注射一本でがんを治す」「体内に埋め込んだチップで精神疾患を治療する」「眼を診るだけで病気が発見できる」といった驚きの未来が提示されます。かつて50年だった人間の寿命は、今やその倍を数えようとしています。それを支えてきたのは紛れもなく医療です。では、医療によって2050年にはどう進化した未来が待っているのか。最先端をいくドタクーとともに、それを描いたのが本企画です。
フリッジは、編集や制作ディレクションを大事にしています。
ありがたいことに、フリッジの執筆力に期待して仕事を依頼するクライアントは増え続けています。一方で、私たち自身は書くことと同じくらい企画や編集、制作ディレクションなどを大切にしています。どう伝えるかも大切ですが、何を伝えるかも同じく重要です。執筆と編集・ディレクションを兼務しているメンバーがフリッジに多いのはそのためです。
昨今はフリッジの企画力、ヒアリング力に期待し、何を伝えるか漠然としたアイデアしかない段階で連絡をくださるクライアントが増えました。クライアントの右腕として、壁打ち相手になる機会が増えているのは私たちとしても嬉しい限りです。話すうちにコミュニケーションの領域を越え、事業をどう形づくっていくかの相談に発展することもあれば、目的を見据えるうちに紙媒体の相談がWeb制作の話に化けていた、なんてことも。なおDOEFFから派生して、阪大医学部の史料館のWebサイトやその展示物の制作も手掛けるに至っています。
ユニークなアイデアを、しっかりと形にできる人脈も豊富です。
設立18年目を迎えるフリッジには、多くの仕事を通じて育んできたネットワークがあります。一流のデザイナーやイラストレーター、フォトグラファーとのつながりも豊富で、どんなアイデアでも実現しやすい強みがあります。この人脈を生かして新しい提案をすることもあれば、当事者であるクライアントがコンサバティブな企画内容に留まろうとするのを尻目に、もう一段チャレンジングな方向へと彼らの背を押すこともあるのが当社らしさ。せっかく作るなら、面白いもの、楽しいもの、作る価値があるものを。客観的な立場から見て、良いと心から思うものを作りたい。これら基本にはつねに忠実です。
今回の受賞は、こうした私たちの姿勢をご評価いただいたという、あくまでも副次的なものです。これからも「どうすれば読者に楽しんでもらえるか」を考え続け、ベストな方法を探り、まっすぐにもの作りと向き合ってまいります。